
東証版のGlobal X NASDAQ-100 Covered Call ETF(ティッカー:2865、以下「東証版QYLD」)と米国上場のQYLD(Global X NASDAQ-100 Covered Call ETF)のどちらが「得」かは、投資家の状況(居住国、税務、為替リスク許容度、取引環境など)や投資目的によって異なります。以下に、株価推移、分配金、利回り、コスト、税務、為替リスクなどの観点から両者を比較し、どちらが適しているかを検討します。
1. 比較のポイント
(1) 株価推移
- 東証版QYLD(2865):
- 最新株価(2025年6月24日時点):1,061.00 JPY(52週範囲:920.00~1,348.00 JPY)
- 株価は米国版QYLDのNAV(純資産価値)に為替レート(USD/JPY)を反映して変動
- 為替変動の影響を受け、円安で株価上昇、円高で下落する傾向

(※チャート画像はTrading Viewより掲載
「2865 グローバルX NASDAQ100 カバード・コール ETF 月足」)
- 米国版QYLD:
- 最新株価(2025年6月14日時点):16.59 USD(52週範囲:14.48~18.89 USD)
- NASDAQ-100指数のボラティリティやカバード・コール戦略の成果に直接連動

(※チャート画像はTrading Viewより掲載「QYLD月足」)
- 比較:
- 株価リターンは基本的に同じ(CBOE NASDAQ-100 BuyWrite V2指数に連動)
- 東証版は為替リスクが追加。円安トレンドなら東証版のリターンが上乗せされるが、円高では下振れリスク
- 過去5年の年換算リターン(米国版)は8.1%で、東証版もこれに為替影響を加味したリターン
(2) 分配金
- 東証版QYLD:
- 毎月分配型。米国版QYLDの分配金(例:0.1657 USD/株、2025年6月)から外国税(10%)を控除し、為替換算(例:1 USD=150 JPYで約22.35 JPY/株)
- 分配金は「オプション・プレミアムの半分」または「NAVの1%」の低い方を上限
- 米国版QYLD:
- 毎月分配型。最新分配金:0.1657 USD/株
- プレミアム全額を分配に充てられる可能性があり、東証版より分配金がやや多い
- 比較:
- 東証版は外国税(10%)控除により分配金が若干少なくなる
- 例:米国版0.1657 USD → 東証版では0.149 USD(税引後)×為替レート
- ただし、日本居住者は二重課税調整制度により外国税の一部を還付可能(確定申告で対応)
(3) 利回り
- 東証版QYLD:
- 12ヶ月分配金利回り(税引前):約11.2%(米国版の12.42%から外国税控除分を反映)
- 為替レートにより円ベースの利回りが変動
- 米国版QYLD:
- 12ヶ月分配金利回り(税引前):12.42%(直近では14.78~14.94%とのデータも)
- 比較:
- 表面上の利回りは米国版がやや高いが、日本居住者が二重課税調整を活用すれば実質的な差は縮小
- 為替変動により、東証版の円ベース利回りは円安で有利、円高で不利
(4) コスト
- 東証版QYLD:
- 運用管理費用(信託報酬):米国版の経費率(0.60%)に加え、国内運用コスト(具体的な数値は目論見書参照、推定0.1~0.2%上乗せ)
- 購入手数料:日本の証券会社により異なる(例:楽天証券やSBI証券で手数料無料の場合も)
- 米国版QYLD:
- 経費率:0.60%
- 購入手数料:米国株取引の手数料(例:SBI証券で0.495%~)や為替手数料(例:25銭/USD)が発生
- 比較:
- 東証版は信託報酬がやや高めだが、為替手数料や米国株取引手数料が不要
- 米国版は取引コスト(手数料や為替スプレッド)が追加でかかるため、小口取引では東証版が有利
(5) 税務
- 東証版QYLD:
- 分配金は国内源泉徴収(20.315%)後、外国税(10%)控除分を確定申告で還付可能
- 売却益は譲渡益課税(20.315%)対象
- NISA対象外(デリバティブ活用のため)
- 米国版QYLD:
- 分配金に米国源泉税(10%)+国内源泉税(20.315%)がかかり、確定申告で二重課税調整可能
- 売却益は譲渡益課税(20.315%)対象
- 外国株扱いのため、一部証券会社でNISA口座利用可能(ただし、QYLDはNISAでのメリットが限定的)
- 比較:
- 税務処理はほぼ同等(二重課税調整で実質差は小さい)
- 東証版は国内ETFとして手続きがシンプル(確定申告不要の場合も)
(6) 為替リスク
- 東証版QYLD:
- 為替ヘッジなし。USD/JPYの変動が株価と分配金に直接影響
- 円安でリターン増、円高でリターン減
- 米国版QYLD:
- 日本居住者はUSD建てで投資し、分配金や売却益を円に換算する際に為替リスクを負う
- 比較:
- 為替リスクは両者で同等。ただし、東証版は円建てで取引・分配金を受け取るため、為替換算の手間が少ない
(7) 取引の利便性
- 東証版QYLD:
- 東京証券取引所で取引(9:00~15:00 JST)
- 日本の証券会社(楽天証券、SBI証券など)で円建て取引が可能
- 最低投資額:約1,061円(1口)
- 米国版QYLD:
- 米国市場(NYSE Arca)で取引(22:30~翌5:00 JST)
- 米国株対応の証券会社が必要。最低投資額:約16.59 USD(約2,489円、1 USD=150 JPY)
- 比較:
- 東証版は取引時間や通貨の扱いが日本居住者に親和性が高い
- 米国版は取引時間帯が不便で、為替手数料や口座管理の手間が増える
2. どちらが得か?
「得」かどうかは以下の要因で決まります:
東証版QYLD(2865)が有利なケース
- 日本居住者で為替手続きを避けたい場合:
- 円建てで取引・分配金受取が可能で、為替手数料や換算の手間が不要
- 日本の証券会社で手数料無料の場合、取引コストが低い
- 少額投資をしたい場合:
- 1口約1,061円で投資可能(米国版は約2,489円)
- 為替リスクを意識しつつ円建てで管理したい場合:
- 為替リスクは米国版と同等だが、円建ての運用で管理がシンプル
- 確定申告を簡略化したい場合:
- 国内ETFとして税務処理が比較的簡単
米国版QYLDが有利なケース
- 大口投資や長期保有でコストを抑えたい場合:
- 信託報酬が東証版よりやや安く(追加コストなし)、取引手数料の影響が小さい
- 為替リスクを積極的に取りたい場合:
- 円安トレンドを見込む場合、USD建てで分配金や売却益を受け取ると有利
- NISA口座を活用する場合:
- 一部証券会社でNISA口座利用可能(ただし、QYLDの分配金型特性上、NISAのメリットは限定的)
- 米国市場の流動性を重視する場合:
- 米国版の運用資産残高(約83.3億 USD)は東証版より大きく、流動性が高い
共通の注意点
- 利回りとリスク:両者とも高利回り(10~12%程度)が魅力だが、カバード・コール戦略により株価の上昇余地は限定的。市場下落時はプレミアムで損失を一部軽減するが、大きな下落ではカバーしきれない
- 分配金の税務:分配金に資本の還付(Return of Capital)が含まれる場合、税務上の扱いに注意
- 為替リスク:円安/円高の予想がリターンに大きく影響
- ポートフォリオの役割:高分配金狙いのETFだが、元本の安全性は保証されず、ポートフォリオの「隠し味程度」の保有が推奨される
3. 結論
- 日本居住者の場合:東証版QYLD(2865)が「得」な可能性が高い。理由は、円建て取引の利便性、為替手数料の不要、取引コストの低さ、税務処理の簡便さ。少額投資や手間を減らしたい投資家に適する。
- 米国版QYLDを選ぶ場合:大口投資、NISA活用、円安を見込む場合、または米国市場の流動性を重視する場合に有利。ただし、取引時間や手数料の負担を考慮する必要あり。
- 投資判断のポイント:
- 為替見通し:円安予想なら両者とも有利だが、米国版はUSD建てで上乗せ効果が大きい
- 投資規模:少額なら東証版、大口なら米国版がコスト面で有利
- 税務知識:確定申告に抵抗がなければ米国版も選択肢。抵抗があるなら東証版
- 取引環境:日本の取引時間や証券会社の使いやすさを重視するなら東証版
4. データソースと注意
- 情報は2025年6月時点のウェブ情報および米国版QYLDのデータに基づく。為替レート(例:1 USD=150 JPY)や市場環境により変動するため、最新の目論見書(Global X Japanや米国Global Xのウェブサイト)や証券会社の情報を確認
- 投資判断は、楽天証券、SBI証券、大和証券などの販売会社で詳細を確認し、税務や為替リスクを考慮して専門家に相談することを推奨
5. 補足
- 具体的なシミュレーション(例:投資額や為替レートを指定したリターン比較)や、過去の分配金データが必要な場合は、詳細を教えてください
- 他のカバード・コールETF(例:JEPIや東証版の類似ETF)との比較も可能なので、興味があればご質問ください!
以上、東証版QYLDと米国版QYLDの比較でした。投資目的や環境に応じてさらに詳しく知りたい点があれば教えてください!
免責事項: Grok は財務アドバイザーではありません。専門家にご相談ください。