OBS Studioを使ってYouTubeとTwitchで同時配信する方法を分かりやすく、ステップごとに詳しく解説します。以下の手順は、OBSのバージョン31.0.0とWindows環境を前提としています。また、Twitchの同時配信ガイドラインや注意点も含めて説明します。なお、今回の設定には「obs-multi-rtmp」というプラグインを使用します。
1. 同時配信の準備と注意点YouTubeとTwitchで同時配信を行う前に、以下の点を確認してください。これらはスムーズな配信と規約違反の回避のために重要です。注意点
- 単独配信の経験があるか
- YouTubeとTwitchの単独配信をOBSで問題なく行った経験が必要です。初めての場合は、まず各プラットフォームでの単独配信を試し、基本設定(映像・音声のキャプチャ、ビットレートなど)を理解してください。
- Twitchの同時配信ガイドライン
- Twitchでは同時配信が2023年10月の規約改定で許可されていますが、以下のルールを守る必要があります:
- 品質の均等性:Twitchの配信品質(解像度、ビットレート、チャットの対応など)をYouTubeより低くしない。例:YouTubeを1080p、Twitchを720pにするのはNG。
- 他プラットフォームへの誘導禁止:Twitch配信中にYouTubeへのリンクや視聴の呼びかけは禁止。
- チャット統合の表示禁止:YouTubeとTwitchのチャットを統合して視聴者に見せるツールの使用はNG(自分だけで見るのはOK)。
- Twitchでは同時配信が2023年10月の規約改定で許可されていますが、以下のルールを守る必要があります:
- ネット回線の確認
- 同時配信では、両プラットフォームに同じビットレートでデータを送信するため、ネット回線の上り速度が重要です。
- 推奨ビットレート:Twitchでは1080p/60fpsで6000Kbpsを推奨。YouTubeとTwitchの合計で12000Kbps(12Mbps)が必要。
- 必要上り速度:12000Kbps ÷ 0.75 = 16Mbps以上の上り速度が理想。速度テスト(例:ぴかまろ)で確認してください。速度が不足する場合、ビットレートを下げる(例:5250Kbps/プラットフォーム)。
- 有線接続を推奨し、Wi-Fiは不安定になる可能性があるため避けましょう。
- PCスペック
- 同時配信はPCに負荷がかかります。CPU/GPU性能が不足すると、映像がカクつく場合があります。エンコーダは「NVIDIA NVENC H.264」などハードウェアエンコードを選ぶと負荷を軽減できます。
2. 必要な機材とソフトウェア
- PC:OBSが動作するWindows/Mac(Windows推奨)。
- OBS Studio:最新バージョン(31.0.0推奨)を公式サイトからダウンロード。
- obs-multi-rtmpプラグイン:複数プラットフォームへの同時配信を可能にするプラグイン。
- 高速インターネット:上り速度16Mbps以上推奨。
- マイク/カメラ:必要に応じて。
- 配信コンテンツ:ゲーム画面、ウェブカメラ、マイク音声など。
3. 同時配信の設定手順ステップ1:obs-multi-rtmpプラグインのインストール
- プラグインのダウンロード
- GitHubの「obs-multi-rtmp」ページ(https://github.com/sorayuki/obs-multi-rtmp)にアクセス。
- 「Latest(最新)」の「obs-multi-rtmp-x.x.x.x-windows-x64-Installer.exe」をダウンロード(「Pre-release」は非推奨)。
- インストール
- OBSを終了した状態で、ダウンロードしたEXEファイルを実行。
- 「Install」をクリックしてインストールし、「Close」で終了。
- 「WindowsによってPCが保護されました」と表示された場合、「詳細情報」→「実行」を選択。
- プラグインの確認
- OBSを起動し、画面上部の「ドック」メニューから「同時配信」にチェックを入れる。
- 右側に「同時配信」パネルが表示されれば成功。ドラッグしてOBS内に収納可能。
ステップ2:配信枠の設定
- YouTube:
- YouTube Studio(https://studio.youtube.com)にログイン。
- 「ライブ配信を開始」→「エンコーダ配信」を選択。
- 「ライブ配信の設定」から「ストリームURL」と「ストリームキー」をコピー。
- 遅延設定(低遅延など)を好みに合わせて調整。
- Twitch:
- Twitchのクリエイターダッシュボード(https://dashboard.twitch.tv)にアクセス。
- 「設定」→「配信」→「プライマリストリームキー」をコピー。
- 配信情報の編集でタイトルやカテゴリを設定。
ステップ3:OBSの基本設定
- 音声設定
- OBSの「設定」→「音声」を開く。
- サンプルレートを「44.1kHz」に設定(再起動が必要)。
- 映像設定
- 「設定」→「映像」を開く。
- 縮小フィルタ:ランチョス(36サンプル)
- FPS共通値:60
- 詳細設定
- 「設定」→「詳細設定」を開く。
- プロセスの優先度:高
- 色範囲:フル
- 設定後、「OK」で保存。
ステップ4:obs-multi-rtmpで配信先を設定
- Twitchの設定
- OBSの「同時配信」パネルで「新規ターゲットを追加」をクリック。
- 名前:Twitch
- URL:rtmp://tyo03.contribute.live-video.net/app/(日本向けエンドポイント。Twitchヘルプで確認)。
- ストリームキー:Twitchからコピーしたプライマリストリームキーを貼り付け。
- エンコーダ:NVIDIA NVENC H.264(推奨)またはx264を選択。
- 解像度:1080p(1920×1080)または動きの激しいゲームなら900p(1600×900)。
- 設定例(NVIDIA NVENC H.264の場合):
- フレームレート:60 FPS
- レート制御:固定ビットレート(CBR)
- ビットレート:6000Kbps(回線に応じて調整)
- キーフレーム間隔:2
- プリセット:P5: Slow(高品質)
- プロファイル:high
- Look-ahead:オフ
- 適応量子化:オン
- GPU:0
- Bフレーム:2
- 音声設定:
- エンコーダ:FFmpeg AAC
- 音声ミキサー:1
- ビットレート:128Kbps
- 「OK」で保存。
- YouTubeの設定
- 「新規ターゲットを追加」をクリック。
- 名前:YouTube
- URL:rtmp://a.rtmp.youtube.com/live2
- ストリームキー:YouTube Studioからコピーしたストリームキーを貼り付け。
- エンコーダ:Twitchと同じ(例:NVIDIA NVENC H.264)。
- 解像度:720p(1280×720、6000Kbpsの場合に最適)。
- その他の設定はTwitchと同じにして「OK」で保存。
ステップ5:ソースの追加
- OBSの「ソース」パネルで配信コンテンツを設定:
- 映像キャプチャデバイス:ウェブカメラ。
- 音声入力キャプチャ:マイク。
- 音声出力キャプチャ:PC音声。
- ゲームキャプチャまたはウィンドウキャプチャ:ゲーム画面。
- 各ソースをプレビューで確認し、必要に応じて位置やサイズを調整。
ステップ6:配信開始
- OBSの「配信開始」をクリックしてメイン配信(YouTube)を開始。
- 「同時配信」パネルでTwitchの「開始」をクリック。
- 両プラットフォームで配信が正常に始まっているか確認(映像、音声、コメント)。
ステップ7:配信終了
- OBSの「配信終了」をクリックしてメイン配信を停止。
- 「同時配信」パネルでTwitchの「停止」をクリック。
4. トラブルシューティング
- 映像がカクつく/遅延する:
- 上り速度を再確認(16Mbps以上推奨)。不足ならビットレートを下げる(例:5250Kbps)。
- ゲームのグラフィック設定を下げる。
- OBSのエンコーダ設定を「NVIDIA NVENC H.264」に変更。
- プリセットを「Performance」に変更して負荷を軽減。
- 配信が途切れる:
- 有線接続に切り替え。
- 不要なアプリケーションを終了してPC負荷を軽減。
- 音声が聞こえない:
- 音声ミキサーの設定を確認。
- マイク/スピーカーが正しく選択されているかチェック。
5. 追加のヒント
- コメント管理:YouTubeとTwitchのチャットを別々に管理。ツール(例:わんコメ)を使う場合は、視聴者に見せないよう注意。
- アーカイブ:YouTubeは無期限アーカイブが可能だが、Twitchは通常7日(パートナーは60日)。YouTubeを活用して長期保存を。
- テスト配信:本番前に非公開/限定配信でテストし、画質や音質を確認。
6. 代替ツールの検討OBSの設定が複雑な場合、DemoCreatorのようなオールインワンソフトも検討可能。直感的な操作で配信・録画・編集ができ、初心者向けです。ただし、OBSほどの柔軟性はない場合があります。
まとめOBS Studioと「obs-multi-rtmp」プラグインを使えば、YouTubeとTwitchでの同時配信が簡単に実現できます。Twitchのガイドライン(品質均等、誘導禁止、チャット統合NG)を守り、十分な上り速度(16Mbps以上)を確保することが成功の鍵です。設定は最初に時間をかけて丁寧に行い、テスト配信で確認しましょう。これで、より多くの視聴者にリーチできます!
ここまでご覧いただきましてありがとうございました。